「高校野球とチームワーク」
         
聖光学院高等学校 野球部監督 斎藤智也 さん

野球は数多い球技の中でも、チームが一丸となって選手を本塁ベースに生還させるという独特のスポーツです。塁上にいる選手を、あらゆる戦法を交えて徐々に本塁に近づけていく。ホームラン性の二塁打も、単打のあとバントで送っても、同じランナー二塁。“二人の人間が四球とバントを繋ぎ合わせると、二塁打の価値を生むんだよ。”とよく私はミーティングの時に言います。一人の打者を全員の力で出塁させ、そのランナーを皆の力で進めていくところが高校野球の最大の魅力だと思います。
“繋ぐ”ということは、犠打や犠飛という野球用語の字のとおり、犠牲を払うということです。チームの勝利のためには、自分の我を押し殺しても徹するところは徹しなくてはいけません。しかし、犠牲というものは、決してただいたずらに払えるものではなく、自分にとって犠牲を払うに相応しい尊重できる仲間だからこそ払えるもの。逆にチームメイト一人一人が、一人の人間から犠牲を払ってもらうに値するだけの器でなければいけないと思うのです。
この精神がチームに宿ること、これが私の理想とするところであり、選手たちがハイレベルに切磋琢磨を繰り返す中で、人間力に富んだチームに成長することをいつも願っています。
最終的にベンチ入りできるのは、県大会で20人、甲子園大会で18人です。ベンチ入りし、試合に出るということは、単にチームの代表というだけでなく、他の部員や家族、自分を応援してくれる様々な人々の夢をも背負って闘うということです。ですから、特に試合に出る選手は、単に上手なだけではなく、それ以上に自己研鑽を重ね、感性を兼ね備えた、柔和で明るい選手でなければ、数々のプレッシャーを跳ね返すことはできません。
いずれにせよ、頂点に立てるのは90数チームのうち、たったの一つ。一見、迂遠のようなものであっても、犠牲の心や感謝の心を子供たちに体得させ、自己実現をさせることが、最も大切なことであり、甲子園への近道でもあると思うのです。

<プロフィール>
競技種目名 硬式野球
氏  名 斎藤智也(さいとう ともや)
所  属 聖光学院高等学校教諭、野球部監督
生年月日 昭和38年6月1日
出 身 地 福島市
信念・モットー 不動心(すべての事を受け入れられるような広い心を養うことによって、人や物に感謝できる選手の育成)
指導上の留意点 意識の高揚とその維持、チームの連帯感、一体感
主な指導歴 <部長歴> 昭和62年度〜平成10年度までの12年間
<監督歴> 平成11年9月〜現在
      ※夏の大会 平成13年 甲子園出場(1回戦)
            平成15年 県大会決勝進出
            平成16年 甲子園出場(3回戦:ベスト16)
            平成17年 甲子園出場(2回戦:ベスト32)
      ※春の県大会 優勝1回、準優勝2回
      ※秋の県大会 優勝2回
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